※小ネタ集にある『俺の嫁?!』を読んでからこの話を読むといいかも
何故かは分からないが、体が・・・むず痒い。周りの視線が痛い。
嫁騒動
噂をされてるのだろうか。ここ最近、妙に体が痒い。俺が何かとんでもないことをした記憶なんてない。注目される理由が分からない。
ジロジロ見てくる2課の連中をちょっと睨めば奴らはすぐに目を逸らし俺の視界から消えていった。根性なしめ!!大概の奴らはまだいい。こうやって睨めばすぐに逃げるから。
「おい、伊丹聞いたぞ〜」
気分を更に悪くする声が後ろから聞こえてきた。特命係の亀山、と変人警部殿だ。あぁウゼェ・・・。
「お前、後輩に手出したんだって?」
気持ち悪いニヤケ顔で意味不明なことを聞いてきた。後輩?手を出す?・・・全くもって身に覚えが無い。
「 さんを嫁にした、と聞いたのですがその様子だとガセネタだったようですね」
、だと・・・・・・?!
「ちょっと警部殿。その話どこで・・・?」
「おや、ガセネタではないのですか?」
「伊丹もすみに置けねぇな〜」
「だから!何でそんな話になってるんだ!っていうか嫁じゃねーよ!!」
まさか・・・いや。あの女のことだ。ありもしない話を言って回ったに違いない!・・・・・・・・・後でシメる!!っていうか嫁って何だ!嫁って!!
・・・嫁?
ふと頭を過ぎるのは先日のこと。彼女が出来なくても私がいます!とか
伊丹先輩のお嫁さんになってあげてもいいですよ!とか言ってたような・・・
そういえば、嫁になりたきゃ勝手になれ!とか勢いで言ってしまったような気もする・・・・・・俺のせい?
いやいや、だとしても嫁と断言したわけじゃねーし。
「ちょっと〜!!私の旦那様を二人して苛めないでくださいよ〜!!」
元凶が現れた。
何が旦那様だよ、馬鹿野郎。
「おやおや。苛めてるつもりはないんですけどねぇ」
「苛めてますよ〜伊丹先輩ったら顔が引き攣ってるんですよ〜」
「こりゃー失礼しました!ちゃんの大事な旦那さんだもんな!」
・・・こいつら俺を無視して話を進めやがって!!一番苛めてるのはこの女じゃねーのか?!っていうか苛めるって何だよ!!苛めるって!!
「お前が嫁がどうとか言いふらしたんだろ!」
「言いふらすだなんて・・・宣言しただけですよー!俺の嫁になりたきゃ勝手になれ!って先輩がおっしゃったんですよ!だから嫁になりました!」
・・・そう言いながら笑うこいつを不覚にも可愛いだなんて思ってしまった。確かにこいつは可愛い部類に入るかもしれないが・・・性格に問題がある。
「お前なぁ、そういうの俺がもしも本気にしたらどうするんだよ?」
「私は本気ですから全然問題ないんですけど・・・・・・やっぱり先輩気づいてないんですね!!あんなに私、アプローチしてたのに!!」
「そうそう。ちゃんってば健気に努力してたのに、伊丹は全然気づいてないもんなぁー」
アプローチ?気づく?この二人は何の話をしてるんだ?!
「私、こーんなに好きなのに・・・」
「好き・・・・・はぁ?誰を?!」
「鈍感な伊丹憲一先輩です!!」
が俺のことを好き、だと?!・・・こいつら二人して俺を陥れようとしてるな。あぁ、そうに違いない。
「先輩、コレは本当ですからね!!」
「はいはい。分かりましたよー」
軽くあしらったところで俺の携帯が鳴った。電話の相手は芹沢だった。どうやら事件らしい。これで俺の問題がまた一つ増えた。とりあえず目先の事件から取り掛かるしかねーよなぁ。
「事件ですか?」
電話を切った俺に問いかけるはさっきまでそこで馬鹿なことを言っていたヤツとは思えないくらいに真剣な顔をしていた。
(とりあえず、特命係に邪魔されねーうちに現場に行くか。)
鈍感イタミンが苛められるお話.
続く?
(20070904)