眠れぬ夜
ベットに横になる、音楽を流す、いっそのこと眠くなるまで起きる
眠れぬ夜の過ごし方はいくらでもありますが貴女ならどうしますか?
これはとある眠れぬ夜に悩む女の子のお話です。
「寝れない」
「・・・俺にどうしろってんだ?」
「寝れないの」
日付も既に変わってしまい時計の針が2時を指している。
先程まで風呂に入っていた同居人ことお付き合いをしている伊丹憲一よりも一足先にベットに潜り込んだは未だに眠れずにいた。
「・・・子守唄なんか歌わないぞ」
「ケチ!・・・だったら羊の数でも数えてよ」
「羊の数?」
「そう。数えるくらいならいいでしょ?」
「まぁ数えるくらいなら・・・って何で俺が数えなきゃいけねぇんだよ!」
「いいから!数えて?ね?ゆっーくり数えてね!」
「・・・っ少しだけだからな!さっさと寝れよ!」
そう言い、咳払いをした後ゆっくりと羊の数を数え始めた。
「羊が1匹。羊が2匹・・・・・・・・・・・羊が10匹・・・・・・まだ寝てないのか?」
「まだ10匹しか数えてないじゃない」
反論すれば、舌打ちをしてまたゆっくり数えだす。
「・・・羊が21匹。羊が22匹・・・」
羊が一匹一匹増えてゆく。数はとうとう40匹を超えた。
「羊が40匹。・・・・・お前寝る気ねぇだろ?!目見開いてんじゃねーよ!!!」
「んーだったら目瞑るね」
2度目の舌打ちをして、もう一度数える。
「・・・羊が41匹。羊が・・・・・・・・・70匹。・・・?・・・寝た、のか?」
「・・・・・・」
「・・・ったくなんで俺がこんなことしなきゃ・・・」
大きな溜息をつき、ようやく眠りにつけると安堵する伊丹だったが、結局が寝付くまでちゃっかり数を数えるそんな自分の甘さに思わず笑みを零す。
職場で絶対に見られたくない姿。
にだけ見せる姿。
「・・・・・・おやすみ」
小さな声で囁きそっと額に口付けを落とすと伊丹もの布団に潜りそっと目を閉じて眠りにつくのだった。
でも実のところ、はまだ眠りについておらず額に口付けされたことで余計に眠れなくて
『だって!あんなにいい声で囁かれたら寝るのが勿体無いもの!!!』
そう思った自分を恨めしく思うが時はもう既に遅し。
隣で早くも寝息を立てる大好きな彼の顔をそっと覗けば、普段見れないような穏やかな顔をして寝ていた。
そんな姿を見てますます寝付けずとうとう朝になり起きた伊丹に目の下の隈を指摘され必死に言い訳をするのであった。