※微エロ要素含みます.苦手な方はご注意を.
出会いとは常に偶然の産物だと思う。
たまたま私は帰宅時に寄り道をして、たまたまその場に居合わせた彼と出会ったのだから。もし私が寄り道さえしなければ接点すら持たぬ雲の上の人であったろうに。
彼に出会ってどのくらい過ぎたのだろうか。
彼─小野田公顕─は警察庁の大物中の大物で、私のような末端の刑事など話をする機会すらない(むしろ会うこともないだろう)そんな人。
末端の刑事といえども、噂なるものは耳にする。例えば彼は孫を溺愛しているとか、その一方で過去に愛人は数え切れないくらいいたとか。そのときはいずれにせよ私には無関係のことだと思い聞き流していた。
まさか自分がこれほどまで深く彼と関係を持つことになろうとは思いもしなかったからだ。
「・・・ちゃん?・・・ちゃんってば。・・・・・・そんなにヨカッタの?」
広いキングサイズのベットの横から声を掛けてくるこの男こそ、かつては雲の上の人であった小野田官房長だ。
「ちょっと考え事してただけです。」
「そう?」
小野田さんは起き上がり床に脱ぎ捨てた自分の服を拾いながら、横たわっている私を見つめる。その眼差しの深さに吸い込まれそうだった。・・・・・・果たして深いのは眼差しだけだろうか。
「一緒にいるのにちゃんはずっと考え事。僕、寂しいなぁ〜」
「寂しかったらご自宅に帰れば宜しいのでは?」
「あら?ちゃん、何?妬いてるの?」
のらりくらり。逃げるかのようにかわす。これが彼のお決まりの手なのだ。
「じゃあ、誰か慰めてくれる人のところにでも行こうかしら。
・・・そんな顔しないでよ。可愛い顔が台無しじゃない。」
そしてそっと耳元で囁く。
「ちゃんが嫌なら、僕と会うの止める?」
彼は私が離れられない程、のめり込んでいることを知っている。知っていてそうするのだから性質が悪い。
「・・・それは嫌です。」
その答えに満足したかのように彼は嗤い、私を優しく抱きしめる。
彼の愛は底なし沼のように深い。落ちてしまえばもう二度と抜け出せなくなってしまうのだ。
「アイシテルヨ?ちゃん。」